アルテガの代表の平尾です。
今年は特にインバウンド向けの多言語サイト制作に力を入れており、直近では兵庫県の城崎にある日本旅館のサイトをリニューアルしました。
この記事は、以下のような方々に参考になります。
- インバウンド向け多言語サイトを作っている方
- OTAではなく自社サイトでの予約を増やしたい
- ウェブサイトとSNSの役割を整理したい方
日本旅館:深山城崎のウェブサイトリニューアルのダイジェストです。
兵庫県北部の城崎温泉が置かれている背景
城崎温泉は兵庫県の北部、日本海に面する豊岡市にあります。
大阪からはとてもアクセスが良く、多くの関西人が足を運んだことがある、とてもポピュラーなエリアです。
私も修学旅行や社員旅行で何度か足を運んだことがあります。
特にコロナ前までは旅行会社経由で訪れる団体のお客様が多かったと聞いています。
ただ今では様相は一変。外国人のツーリストが多く、特に欧米の方たちが浴衣を着て街を歩いている様子が見られます。
城崎温泉は観光客が8年間で45倍に急増しており、インバウンド対応が急がれます。
城崎エリア全体で1つの温泉旅館だとたとえられるように、エリアに点在する7つの外湯が人気です。
多言語サイトで行ったこと
リサーチと構成のフルリニューアル
まずは周辺の旅館の価格帯や強みをまとめます。
他の旅館のOTAでのレビューから城崎温泉に何を求めているかを知ることから始めました。
他の旅館の強みと重ならないように、細心の注意を払いながら、真のターゲットを定めます。
どのような媒体から旅館を決めるか、他に観光したいエリアはどこで、どんなことを知りたがっているか。
競合はどこか、どのプランが人気で、どんな料理を欲しがっているか。そこまでがきまってようやく、コンセプト、キャッチコピー、色味など、すべての体験に矛盾が無くなるよう、構成を練ります。
どんなシーンがあるのが相応しいか、リサーチを重ねないと、何をデザインすべきかがわかりません。
全然形にならなかったアイデアもたくさんありますが、だからと言ってこのステップを飛ばすわけにはいきません。
今回は大規模な建物のリニューアルも同時並行なので尚更。
建築図面を見ながら、どんなクリエイティブにしたらいいかを、マーケティング戦略と一緒に決めていきます。
毎回、気合い充分のリサーチ資料を持って、オーナー様とは何度もお時間を頂戴し作戦会議を行いました。
こういった、真剣に大人が顔を突き合わせて、新しいことを始めようとしているとき、私はとてもワクワクします。
日英中韓のインバウンド対応
今回のウェブサイトでは、日本語・英語・中国語・韓国語の4言語に対応しました。
この先も外国人観光客の受け入れを積極的にやっていきたい。精度を優先するため、自動翻訳ではなく、翻訳したページを作成させていただきました。
いつもは、動的なコンテンツ更新を進めていく際には、自動翻訳のプラグインや、サードパーティのサービス組み込みをお勧めしています。
OTA脱却と自社予約サイトを準備
OTAとは楽天やじゃらんなどの旅行予約・管理サイトの通称です。
多くの旅館やホテルはOTAからの集客と予約管理を行います。
集客のしやすさ、手軽さ、電話対応の削減など、OTA側のプログラムを使用することで、管理は簡単になる反面、売り上げの13%から20%を取られることによって利益がとても薄くなります。なので、一度OTAを利用すると、“沼”です。
ちゃんと自立して集客できる旅館であれば尚更、なかなか抜け出すことはできません。やめるのが怖いんですよね。
でも、営業利益が薄くなってしまうことを脱却したい。
だから今回、自社サイトで予約可能・管理する予約システムを選定しました。
結論、これが功を奏して、一年で予約の約30%ほどが自社サイトからの予約になりました。
目標は50%。まだまだWeb戦略はこれからですが、1年でこんなに結果が出るとは驚きです。
年間を通じた手数料の削減は、宿泊者へ料理の一品がアップグレードされるなど、宿泊客直接的に還元されることでしょう。
50歳以上をターゲットにした正直でクラシカルなデザイン
深山城崎では大規模な建築のリニューアルを行っています。
そのため、以前の宿泊客の層よりも、もっとリッチな体験を期待して方に対して世界観を構築していく必要がありました。
つまり単価を上げる施作を宿全体で行なっていく必要があるんです。
Webサイトではオリジナルのキャッチコピーを作成し、大正浪漫を思わせる世界観づくり。
それでいて旅行客の期待を裏切らない正直なデザイントーンを心がけます。
オーソドックスなデザインかつ、アニメーションは最小限に抑えます。
市区町村のインバウンド対応
先述した通り、城崎エリアでは温泉街全体で日本旅館だと標榜しています。
1つの旅館だけで城崎の魅力を伝えるのではなく、街を歩いてその体験こそを楽しんで欲しい。
豊岡市では外国人に向けた英語サイトが準備されており、こちらでも城崎エリアの楽しみ方がしっかりと親切に掲載されています。
Visit Kinosaki – Best Onsen Town in Japan | The Official Site
そのことから市区町村からもとても期待されている温泉街だと言うことがお分かりいただけます。
温泉街と歴史ある旅館の強みを発信しており、インバウンド観光客のアクセスや心配事に気を配られています。
ブログでの発信内容について
深山城崎では、ブログを活発に活用しており、イベントの発信が活発です。
例えばマジックショーやピアノリサイタルなどがそれらに当たります。
とってもユニークですよね。
地元城崎エリアの作家の方を呼んで、ギャラリーを開催したりと地域の魅力を発信するハブになる旅館を目指しています。
場所的に温泉街からは少し離れていますが、インバウンドの外国人にとって、玄関口のような存在になればいい。
そう思います。
最速予約可能なスマホデザイン
スマホのデザインにも工夫しました。
メニューをスマホの最下部に固定し、いつでも予約ページへ遷移ができるようにしています。
旅館であれば予約してもらうことが1番の目的であるためです。
料理をシーズンごとに管理画面で変更可能
管理画面での操作には特に弊社ではこだわりがあります。
旅館の運用更新において1番お客様に見せたいのはお部屋と料理ではないでしょうか。
特に城崎エリアでは、冬場はカニが有名なため、カニ料理を目的に訪れる観光客が多い。すでにカニで有名な城崎エリアですから、黙っていても宿泊客はきます。
ただその反面、夏場ではカニ以外の料理で宿ごとに差が生まれます。
夏場は何もしないままでは魅力が伝わりません。
閑散期を作らないように、ウェブサイトでは夏場の予約を増やすために、ブログと料理ページの更新を管理画面から従業員が簡単に更新できる仕組みを採用しました。
コーポレートサイト・写真など、あの手この手でブランディング
株式会社ARUTEGAではWebサイトを起点にしながら、今回のように写真や映像など「あの手この手」を尽くし、企業・商品のブランディングを行います。
安易に新たな魅力を作ろうとするのではなく、今あるそれらを探り当てたい。
眠っているものを見つけ、磨き、表現していくこと。そのために、時に「やりすぎ」と言われるくらい対話を繰り返します。