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オウンドメディアKPIの基本と設定方法

お役立ち

オウンドメディアを立ち上げたものの、成果が見えづらく、社内から「効果はあるの?」と問われて、答えに詰まってしまう。
そんな悩みを抱える担当者の方も多いのではないでしょうか。

情報発信のためだけでなく、マーケティングや営業と連携したビジネス成果につなげるには、「KPI(重要業績評価指標)」の設計が欠かせません。

本記事では、オウンドメディアにおけるKPIの意味から、具体的な指標例、設計方法、効果測定のポイントを丁寧に解説していきます。
メディア戦略に悩むご担当者のヒントになれば幸いです。

オウンドメディアにおけるKPIとは?

KPIとは何か?指標の基本

オウンドメディアの目的が「なんとなく更新を続けること」になってしまっていないか。
そんなときに軸になってくれるのが、KPI(Key Performance Indicator)です。
KPIは、PV(ページビュー)や検索からの流入数、資料請求・問い合わせなどのコンバージョン数といった“成果の進捗”を数値で捉える指標。
いまどのくらい成果が出ていて、どこに課題があるのかを可視化する役割を持っています。

たとえば、「月間5万PVを目指す」「資料請求を50件取りたい」といった明確なKPIを設定しておくことで、やるべきことが見えやすくなると、
運用の方針がブレにくくなるだけでなく、チーム内での共通認識も生まれやすくなります。

また、KPIとセットで押さえておきたいのがKGI(Key Goal Indicator)という考え方。
KGIは「売上1,000万円達成」など最終的なゴールで、KPIはそこへ向かうまでのチェックポイントのような存在です。

さらに、指標は数値だけとは限りません。
SNSでの反応、記事に寄せられるコメント、指名検索の増加なども、メディアの成長を示すヒントになります。
「何を成果とするか」は、目的に応じて丁寧に整理しておきたいところです。

KPIを設定すると、改善のサイクルも回しやすくなります。
振り返り、課題の洗い出し、施策への落とし込みといった流れが習慣になれば、メディアの質も自然と底上げされていきます。

https://arutega.jp/knowledge/whats-owned-media/#rtoc-1

オウンドメディアとKPIの関係

オウンドメディアには、集客やブランディング、リード獲得といった役割があります。
どの方向で成果を出したいかによって、追いかけるべきKPIも変わってきます。
たとえば、検索からの流入を増やしたいならSEOが重要になりますし、コンバージョンを狙うならCTAや導線設計の工夫も必要です。
目的が変われば、注目すべき数値も自然と変わるものです。

ただ、目標がぼんやりしたままだと、記事の更新自体が目的になってしまうことも。
せっかく時間とコストをかけても、「それって成果につながってる?」と感じてしまうようなケースもあります。

そんなとき、KPIがあると立ち戻る場所ができます。
「今月のPVはどうだったか」「CV数は先月より増えているか」といった問いに、すぐ答えられる状態が理想的です。

社内での共有もしやすくなり、メンバー全体が同じ方向を見やすくなります。
それは、KPIがあることで、目標達成の“輪郭”がはっきりしてくるからです。

目的を見失わないための指標として。
KPIは、オウンドメディアを長く育てていくための土台になります。

成果を見える化する重要性

オウンドメディアの成果は、つい感覚で判断しがち。
「なんとなく読まれている気がする」「手応えはある」といった声が出てきても、それだけでは次のアクションにつなげづらいです。
そこで必要なのが、KPIによる“見える化”。
PV数やコンバージョン率など、成果を数値で捉えておけば、社内への説明もしやすくなり、「先月より検索流入が20%増えた」といった具体的な話ができれば、説得力も増していきます。

さらに、KPIはチーム全体の足並みを揃える指標にもなります。
目指す方向性を言語化するだけで、やるべきことが共有しやすくなり、連携もしやすくなる。
結果的にコンテンツ担当者、SEO担当者、営業チームなど、役割を超えて同じ数字を追う意識が生まれます。

評価の軸としてもKPIは有効です。
目標が曖昧だと「成果があるのかどうか」が曖昧になりますが、指標があれば判断しやすくなります。
誰が見ても納得感のある運用にするには、やはり数値が欠かせません。

感覚に頼らず、言語化された数字で向き合うこと。
それが、戦略的なオウンドメディア運営のスタートラインです。

https://arutega.jp/knowledge/recommend-media/

KPIの設定方法と考え方

SMARTなKPI設定とは?

なんとなく「PVを増やしたい」「問い合わせを増やしたい」と言っても、それだけでは行動に移しづらい。
KPIをきちんと機能させるには、“設計のしかた”が大事になってきます。

そこで参考になるのが「SMART」という考え方。
Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性がある)、Time-bound(期限がある)。
この5つの要素を満たしているかをチェックするだけで、KPIの実効性がぐっと高まります。

たとえば、「資料請求数を増やす」だけだと少し曖昧。
「3か月以内に、月間の資料請求を20件から40件に増やす」といった形に落とし込めれば、何をすべきかが明確になります。

数字で追える目標にすること、無理のない達成ラインに設定すること。
さらに、ビジネスゴールときちんと紐づいているかも重要な視点です。

SMARTに設定されたKPIは、チーム全体の行動指針にもなります。
ただの数字ではなく、「なぜその目標を目指すのか」という意味を共有できるようになるのが理想です。

まずは、自社の現状と照らし合わせながら、SMARTなKPIが設計できているか確認してみてください。
やるべきことが自然と見えてくるはずです。

KPIツリーで目標を構造化

KPIは、いきなり決めるより「最終的に何を達成したいか」から逆算するのが基本です。
この考え方を図式化したものが「KPIツリー」と呼ばれる手法です。

たとえば、KGI(最上位目標)として「月間100件の資料請求」を掲げたとします。
この場合、KPIはその成果を生み出すための“途中のチェックポイント”になります。
資料請求につながるには、まずサイト訪問が必要で、その前に検索流入や記事PVの向上が不可欠。
こうした構造を、ツリー状に整理していきます。

KPIツリーを作ると、目標に対する因果関係が見えるようになります。
「なぜこの数値を追うのか」「この指標が良くなれば何が起きるのか」がクリアになり、施策の優先度も判断しやすくなります。

また、関係者との認識のズレも減らせます。
営業は商談数、マーケティングはCV率、コンテンツ担当はPV数といったように、それぞれが異なるKPIを持ちながらも、最終的には同じゴールにつながっており、この構造を見える化することで、プロジェクト全体の整合性が取りやすくなります。

KGIだけを掲げていても、具体的な動きにはつながりません。
KPIツリーという設計図を描いておくことが、実行力のあるメディア運営への第一歩になります。

オウンドメディアは、立ち上げから成熟まで、段階ごとに目的も変化していきます。
当然、重視すべきKPIもそれに応じて変わるものです。
たとえば、立ち上げ初期にいきなりCV数や売上を追っても、なかなか結果には結びつきません。
まずはPV数や検索流入数、SNSでの拡散など、認知拡大を意識した指標にフォーカスするのが現実的です。

運用がある程度軌道に乗ってくると、次は“質”のフェーズへ。
「どれだけ読まれたか」から「どれだけ行動につながったか」へと注目する軸が変わっていきます。
具体的には、コンバージョン数、CV率、フォーム到達率といった成果系のKPIにシフトしていくイメージです。

また、メディアの性質によっても注目すべきKPIは変わります。
BtoBメディアならリード獲得数、BtoCなら商品ページへの誘導率など。
ビジネスモデルに合わせた設計も欠かせません。

大切なのは、フェーズに合わないKPIを無理に追わないこと。
手応えのない数値に一喜一憂するのではなく、今の状態に必要な評価軸を持つことが、成果への近道になります。

フェーズ別KPIの設計ポイント

すべてのKPIを一度に追う必要はありません。
むしろ、フェーズごとに“今、何に集中すべきか”を明確にしたほうが、効果的な運用ができます。
メディアの立ち上げ期であれば、まず意識したいのは「認知の獲得」。
PV数や検索流入、SNSでの拡散数など、“どれだけ人の目に触れているか”を示す指標が重要です。
この段階では、とにかく土台を広げることが優先になります。

その後、運用が安定し始めたら、徐々に成果に目を向けていくタイミング。
コンバージョン数(CV数)、CV率、問い合わせ数など、“アクションにつながったか”を評価軸に加えていきます。
量から質へ、というイメージです。

たとえば、PVが多くてもCVにつながっていなければ、記事の導線やCTAの設計に課題があるかもしれません。
逆に、CV率が高い記事があるなら、それをどう再現するかが次の戦略になります。

フェーズを見誤ると、的外れな改善につながりかねません。
だからこそ、“今このフェーズで何を見るべきか”をKPIで整理することが大切です。
数字に振り回されず、正しいタイミングで正しい指標を選ぶ。
それが、継続的に成果を出すメディア運営のコツです。

https://arutega.jp/knowledge/recommend-media/

よく使われるKPIの指標例

集客指標(PV・検索流入など)

メディアに人を集めること。ここが最初の大きなハードルです。
その状況を測るために役立つのが、いわゆる「集客指標」と呼ばれるKPIたちです。
代表的なのはページビュー(PV)。
どれだけの人が記事を読みに来たかを示す、もっともシンプルで分かりやすい指標のひとつです。
あわせて注目したいのが検索流入数。
検索エンジンからの自然流入がどのくらいあるのかを把握することで、SEOの成果を見極めることができます。

また、SNS経由での訪問数や、リファラル(他サイトからの流入)などもチェックしておきたいところ。
流入チャネルごとに傾向が異なるため、「どこから来た人が多いのか」「どのチャネルが成果につながっているか」を分析することで、集客の方針も見えてきます。

数が多ければいいというわけではありませんが、まず“見てもらう”ことがなければ何も始まりません。
集客指標は、メディアがきちんと世の中に届いているかを測る、いわば出発点の数字です。

初期段階ではこのあたりの指標を軸に、コンテンツのテーマやSEOの方向性を調整していく。
それが、中長期的なメディア戦略の第一歩になります。

回遊・滞在指標(直帰率・平均滞在時間など)

メディアに訪問してもらえたとしても、すぐに帰られてしまったら意味がない。
どれだけ“ちゃんと読まれているか”“中身を見てもらえているか”を測るのが、このフェーズの指標です。
直帰率は、訪問者が最初の1ページだけで離脱した割合を示すもの。
この数値が高いと、コンテンツの入り口や導線に課題がある可能性が見えてきます。

平均滞在時間も重要です
たとえば3分以上の平均滞在があるなら、記事がしっかり読まれている証拠。
逆に30秒未満であれば、読まれずに離脱している可能性が高いです。

あわせて注目したいのがページ/セッション数。
一度の訪問で何ページ見られているかが分かるため、サイト内の回遊性を把握できます。
たとえば、「関連記事への導線が少ない」「ナビゲーションが分かりづらい」といったUIの課題が、数字として浮かび上がることもあります。

こうした回遊・滞在指標は、UI/UX改善のヒントにも直結します。
単に数値を眺めるだけでなく、「どうすれば次の行動につながるか」を考える材料にしていきましょう。

一人ひとりの行動を丁寧に追いかけることが、メディアの質を底上げする近道です。

成果指標(CV数・CV率など)

最終的に何を“成果”とするか。 オウンドメディアのゴールを定義するうえで、欠かせないのがこの成果指標です。
中でも代表的なのがコンバージョン数(CV数)。
資料請求やお問い合わせ、会員登録やホワイトペーパーのダウンロードなど、具体的なアクションが計測対象になります。
これらは、ビジネス成果に直結する最重要のKPIといっても過言ではありません。

合わせて見たいのがCV率。
訪問者のうち何%がアクションを起こしてくれたか、という視点です。
単に数を追うだけでなく、“どれだけ効率よく成果につながっているか”を評価できます。

たとえばCV率が低ければ、CTAの設置場所や文言、フォームの設計に改善の余地があるかもしれません。
逆に、CV率が高い記事や流入チャネルがあるなら、そこを軸に広げていくのもひとつの手。

成果指標は、メディアの“目的”に直結する部分。
数字が上がっていれば、施策の方向性が正しいという証拠にもなりますし、社内への説明力も一段と増します。

単なるPVの増加では満足できない段階に来たら、ぜひここに注目してみてください。
数字が“動く瞬間”が、次の戦略のヒントになります。

KPIの効果測定と改善方法

効果測定に使えるツール

KPIを設定したら、次は“どうやって数値を追うか”。
この工程が抜けていると、せっかくのKPIも意味をなさなくなってしまいます。
基本中の基本は「Google Analytics」。
PV数や直帰率、滞在時間など、メディア運営に欠かせない主要な指標がほぼ網羅されています。
設定も比較的シンプルで、無料で使えるのも大きな魅力。

次に活用したいのが「Google Search Console」。
検索クエリごとの表示回数やクリック率、掲載順位など、SEOの成果をチェックするには必須のツールです。

もっと具体的なユーザー行動を見たいなら、ヒートマップツールが有効です。
どこがクリックされているか、どこでスクロールが止まっているかなど、“感覚ではわからない動き”を視覚化できます。

また、KPIの種類によってはMA(マーケティングオートメーション)ツールも役立ちます。
たとえば、ホワイトペーパーDL後のメール開封率や商談化率まで追いたい場合、MAツールがあるとスムーズです。

重要なのは、「すべてを見ようとしないこと」。
KPIに対して“今必要なデータ”をきちんと拾えるツールを選ぶことが、運用精度を上げるポイントになります。
必要なところにフォーカスして、手間なく・正確に数値を把握できる体制を整えていきましょう。

KPIは決めたら終わり、ではありません。むしろ、そこからが本当のスタートです。
たとえば「PVが伸びた」「CVが減った」。
その数値の裏にある“理由”を読み解き、次に何をするかを考える。
この繰り返しが、KPI運用の本質といえます。

だからこそ大事なのが、測定サイクルの設計です。
多くの企業では、月次もしくは週次のレポートをベースに、定例の振り返りを行っています。
数値をただ並べるだけでなく、「どの施策がどう影響したか」をチームで共有する時間を設けるのがポイントです。

PDCAサイクル──計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Act)を回すためにも、この定例の“チェックタイム”は欠かせません。
「今月は検索流入が減っていたが、タイトル設計の甘さが原因かもしれない」
「CV率が上がった背景には、CTAの変更が効いていたのではないか」
そんな仮説と検証が積み重なることで、メディアは着実に強くなっていきます。

継続的に見る。小さく試す。すぐ改善する。
KPIを軸にした運用サイクルは、メディアに“動き”と“成長”をもたらしてくれます。
数字のチェックをただの作業にせず、“戦略の時間”に変えていきましょう。

改善ポイントの見極め方

KPIの数字は、ただ“増えた・減った”を見るためのものではなく、本当に重要なのは、その背景にある理由を見つけることです。

たとえば、検索流入が落ちた場合。
原因として考えられるのは、検索順位の低下か、タイトルやディスクリプションの魅力不足か。
逆に、ある記事だけ流入が伸びているなら、そのテーマや構成が読者ニーズにフィットしていた可能性があります。

CVが落ちていたら、CTAの文言が弱かったのかもしれない。
導線がわかりにくくなっていたか、フォームの入力項目が多すぎたのかも。
小さな変化も、きちんと分析すれば改善のヒントが隠れています。

ここで役立つのが「仮説思考」。
数字の変化に対して“なぜ?”を繰り返しながら、可能性を洗い出していく。
これを繰り返すことで、施策の精度はどんどん上がっていきます。

KPIは分析のスタート地点。
“見るだけ”で終わらせず、“考えるきっかけ”にしてこそ、価値が生まれます。
ただ数字を眺めるのではなく、その裏にあるストーリーを拾いにいきましょう。

https://arutega.jp/knowledge/recommend-media/

まとめ:KPIを軸にしたオウンドメディア運営

KPIは、単なる数値の目標ではありません。 “なにを目指しているのか”“今どこにいるのか”“次にどこを目指すのか”を示してくれる、オウンドメディアの羅針盤です。
感覚に頼る運用ではなく、確かな指標をもとに改善していくことで、メディアは少しずつ成果を積み上げていけます。
そのためには、目的に応じたKPIを設計し、振り返りと改善を繰り返すサイクルが必要です。

そして、数字を見る力と、そこから“意味”を読み取る力も同時に求められます。
指標があることで、チームでの意思統一も図りやすくなり、施策の判断にもブレがなくなり、KPIはまさに、戦略的なメディア運営の“軸”と言える存在です。

ARUTEGAでは、KPIの策定から設計支援、CMSとの連携、コンテンツの企画・制作、運用改善までトータルでサポートしています。
「どこに課題があるか分からない」「数値は見ているけど、改善につながらない」
そんな悩みにも、実践的な視点で並走可能です。

KPIを正しく扱えば、オウンドメディアはもっと力強く成長していきます。
“測るだけ”で終わらない、“成果につなげるための指標”として、ぜひ活用してみてください。