ディレクターの坂本です。
今回、王子ネピア株式会社から新しく発売されるウエットティシュwetomoのブランドサイトを制作させていただきました。
新商品の発売、新ブランドの誕生においてブランドサイトは言うまでもなく重要な存在。
もちろん『ブランドサイトの制作』が一つの目的ではありましたが、その過程で明確になったブランドの人格やターゲットユーザーなど、『制作プロセス』自体がブランドにおける大きな資産となりました。
この記事では上記に関する具体的な内容をご紹介いたします。
nepia wetomoブランドサイト
クレジット
Project Manegement:Yoki Sakamoto(ARUTEGA Inc)
Art Direction:Yoki Sakamoto(ARUTEGA Inc)
Design:Norio Ozaki(ARUTEGA Inc)
Front-End:Wataru Kojima
Movie:Headman Tossy
Photo:Ichi Nakamura
Assistant:WACOH
Assistant:Hikaru Kobayashi
ご依頼の背景
これまでもウエットティシュを販売されていたnepiaさまでした。
そして今回は、新たに大きくモデルチェンジしたウエットティシュを発売されるということで、ブランドサイト制作のご依頼をいただきました。
代表的な競合商品がある中で手にとってもらうためにはやはり魅力的な表現・インパクトが必要。
そんな理由もありアニメーションやリッチな表現でコンセプトを実現してくれる制作会社を探していたところ、弊社に辿り着いたということでした。(大変光栄です…!)
プロジェクトのゴールを明確にする
『ブランドサイトの制作』はあくまで手段の一つでしかありません。
ご依頼の背景、状況、商品設計など細かくヒアリングしたうえで改めてプロジェクトのゴールを設定しました。
- 目的
- 新規ユーザーを獲得することで売上拡大を目指す
- 消費者および小売店にとっての価値を機能的、情緒的に訴求
- 重要成功要因
- ブランドが体現出来ていること
- 各商品の魅力がユーザーに伝わること
- 写真素材を最大限活かした設計であること
- 競合と比較された場合に、wetomoに魅力を感じてもらえること
- ユーザーの生活に寄り添った商品であることを認知させること
- 機能の説明だけでなく遊び心があり、興味を惹く内容であること
- ブランドサイトを訪れる前後の設計が明確でスムーズであること
マーケティング全体像から見るブランドサイトの役割
マーケティング活動においてブランドサイトは一つの手段でしかありません。
認知から購買、リピート購入までの具体的な流れを把握したうえで、ブランドサイトが持つべき役割を改めて確認しました。
サイトのコンテンツを考える上でも役割、前後の関係性を考慮することは目的の達成に直結します。
ターゲットは誰か
新しく発売される商品には以下のような特徴があります。
・コンパクトでかさばらないので持ち運びに便利
・フタつきだから開け閉めらくらく、乾きにくい
・大判サイズのシートで、ストレスなく使用できる
・薬液がたっぷりだから、しっかり汚れを拭き取れる
上記をご覧いただいてもわかるように基本的には老若男女に利用いただける、従来品にあった課題を解決した商品になっています。
そのうえで4種類の商品はさらに細かくセグメントしたターゲットを想定しています。
- 除菌ウエットティシュ アルコールタイプ
- アルコールでしっかり除菌したい方
- アルコール配合のウエットティシュでお掃除したい方
- オフィスなどのデスク周りの除菌・お掃除に
- 除菌ウエットティシュ ノンアルコールタイプ
- ノンアルコールで除菌したい方
- お子様の持ち物の除菌に
- 日常使いの除菌ウエットティシュが欲しい方
- お肌うるおう 保湿ウエットティシュ
- 除菌タイプではないウエットティシュをお求めの方
- 手肌の保湿ケアをしたい方
- 手の乾燥にお悩みの方
- 除菌ウエットティシュ ウイルス除去タイプ
- 菌やウイルスをしっかり除去したい方
- ウイルスが気になるシーズンに備えたい方
- 家庭内の衛生管理を徹底したい方
上記のように言葉で伝えるのはもちろんのこと、全ての人が全ての文字を読むわけではありません。
文字を読まなくても直感的に伝わるよう工夫した点については後述します。
クリエイティブの狙い
企画・構成
wetomo(ウエットモ)という名前の由来にもなっていますが、『いつでもいっしょにいたい友達みたいなウエットティシュ』というコンセプトをどのように表現できるか、さまざまな角度から試行錯誤を繰り返しました。
ウエットティシュをコンセプトに沿って擬人化、よりリアルに声が聞こえてくるようになるまでブラッシュアップ。
「だれが」「どんな声で」「どんなトーンで」話しているのか、ということをサイトに反映します。
ブランドを最大限表現することに加え、最終的に購入していただくにはやはり『便益を感じ、自分ごとに捉えていただく』必要があります。
そのために重要な役割を果たしているのが写真です。
どのようなシーンを想定したか
直感的、かつ自分ごとに捉えていただくためには、実態と乖離しないリアルなシーンが必要でした。
各商品ごとにターゲットに近いペルソナを立て、状況・小道具・衣装など細かく設計しました。
中でも各商品に合ったユーザー像をカバンの中身から連想してもらうカット。
もし多くの人が理解できなくてもターゲットのユーザーであれば「自分だ!」と強く感じることを狙ったアイデアでした。
撮影で気をつけたことは何か
今回の撮影を振り返ると『段取り命』という感想が一番に出てきます。
撮影準備で一番難航したのがスタジオ選びでした。
ライフスタイルシーンの割合が多いためハウススタジオの中から6箇所ほど候補を出し、条件に合ったスタジオを2箇所ロケハンすることに。
ただその中で様々な壁が立ちはだかります。
- シーンごとにプロップを組み立てる必要があり時間が足りない
- 年季が入っておりクリーンな演出が難しい
そんな中カメラマンさんの繋がりでモデルハウスを使用させていただけることに。
モデルハウスは今回の条件にぴったりでした。
使用可能なモデルハウス3棟もロケハンさせていただき、「最適なモデルハウスはどこか」「モデルハウス2箇所を使用するのはどうか」「タイムスケジュールを考えると1箇所での撮影が現実的では」と試行錯誤を繰り返し最適なプランを考えました。
その後も小道具や衣装の準備、当日撮影する用の料理など抜かりなく準備をしたこともあり予定より早く撮影が終了し、プラスアルファの素材も撮影することができました。(オープニングのストップモーションはこの時間があったことで生まれました)
もちろんカメラマンさんの経験・技術に加え、nepiaのご担当者様が粘り強くご協力してくださったことも大きな要因です。
デザインで与えたい印象を決める
構成・文章・シーンに加え、ご依頼の理由にもあった具体の表現部分が、与えたい印象の方向性を大きく決めています。
デザインで与えたい印象
ブランドを機能的・情緒的に表現するデザイン
パッケージのドットに加えて今回のコンセプト「相棒」「友達」、nepiaが大事にしている「共生」を反映し、二つ連なったドットを各所に散りばめています。
人気(ひとけ)のあるフォント、4種類のイメージカラーとそれを引き立てつつアクセントを加える紫。
nepiaのコーポレートサイトや他ブランドでも使用されていて柔らかく自然な印象を与える曲線を使用しました。
商品の清潔感を強調しつつ、薄い肌色や淡いブルーのトーンを取り入れることで親しみやすさを訴求しています。
各セクションに適度な余白を設けることで、読みやすさと視覚的なリズムを生み出し、要素の配置も製品の特徴をわかりやすく伝えるためにシンプルでバランスの取れた設計に。
サイト訪問者が内容を理解しやすく、自然なスクロールの流れを誘導する効果を持たせています。
緻密に計算されたアニメーション
ご依頼をいただいた大きな理由にもあったアニメーションは操作性・与える印象のバランスを極限まで調整しました。
サイト全体を通して跳ねるようなバウンス系のインタラクションで親近感を演出。
目的である『新規顧客の増加』を目指し、スクロールに合わせた演出や背景の動きなど操作性を担保しながら、印象に残るような実装をさせていただきました。
最後まで読み飛ばされないようにする工夫は
やはり縦に長くなるLP、ユーザーに要所を抑えていただけるよう工夫をこらしました。
必ず読んで欲しいPointセクションは縦に長くなることも避けるため横スクロールで実現。
PRODUCTセクションでは右側に4種類のタブを置くことで気になった商品にすぐ戻れるようするなど、ユーザー体験を考慮した設計になっています。
全体で気に入っているところ
個人的には終盤のWhich「いつでもそばに、4種類の味方。あなたはだれと過ごしますか?」という部分。
某モンスター育成ゲームで最初にキャラクターを選ぶようなワクワク感がありませんか…!
そんなワクワク感に加えて、気になった商品に戻ってもう一度詳細を確認できるという機能的な役割も担っています。
クライアントからのお言葉
商品コンセプトを視覚的に表現する、素敵なサイトを制作頂きました
新商品の「ネピアwetomo(ウエットモ)ウエットティシュ」のブランドサイト制作をお願いしました。既存のブランドサイトに対する不満点や、理想のブランドサイトについての課題を相談したところ、様々なご提案をいただきました。結果として、サイト内の動画や画像も撮影していただき、動きがあって楽しめる、ブランドコンセプト「いつでもいっしょにいたい、友達みたいなウエットティシュ」を視覚的に感じられるサイトに仕上げていただきました。こちらの修正要望や相談箇所についても迅速かつ的確にご対応いただき、短納期にもかかわらず、しっかりと進行管理していただきました。ARUTEGAチームの皆様にお願いして本当に良かったです!
王子ネピア株式会社 ネピアwetomo担当
サイト・写真・映像など、あの手この手でブランディング
株式会社ARUTEGAではWebサイトを起点にしながら、今回のように写真や映像など「あの手この手」を尽くし、企業・商品のブランディングを行います。
安易に新たな魅力を作ろうとするのではなく、今在るそれらを探り当てたい。
眠っているものを見つけ、磨き、表現していくこと。
そのために、時に「やりすぎ」と言われるくらい対話を繰り返します。
wetomo 実績ページ
実績ページでは制作したサイトの概要、キャプチャ、動画、クレジットなども掲載しています。