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デザインをもっと良くするための見方【8選】
アルテガでは、お客様にデザインを提案する前に社内で細かくフィードバックをする文化があります。
デザインがもっと良くなるように、社内では普段からフィードバックのことを“フィードアップ”と呼んでいます。
こうしたポジティブっぽい言い方にしているのは、デザイナーにできるだけ気楽に受け取ってもらい、前向きに良くしたいと思っているから。
なのでこの記事でもあえてフィードアップと呼ぶことにします。
さて、デザイナーにとって、他者からの“フィードアップ”はとても怖いものです。
だからこそ言葉を尽くして慎重に伝えたい。
そして、できるだけ否定や批評にならないようにしたい。
目的はただ一つ。今よりもっと良くなるきっかけをつくることだからです。
そんな社内でフィードアップすることが特に多い私が、デザインを見るときに共通して意識している視点や基準をまとめてみました。
もちろん案件によって優先順位は変わりますが、自分の中には毎回確認しているポイントがあります。
今回は社内のメンバーに向けて書いた内容です。
でも書いてみると、これからWebサイト制作を発注しようと考えている担当者の方にも、デザインがどのような視点で磨かれていくのかを知っていただける内容になりました。
① 既視感がないデザインか
まず最初に、ありきたりになっていないか。
「どこかで見たことがないか」です。
既視感とよく言われますが、ある程度あることは必要と思うんです。むしろWebサイトには、既視感に由来する安心感が必要です。ただ、そのままでは記憶に残らないからいけないんですよね。
既視感を打破するためには、いろんな手を加えてみます。
- 写真の切り取り方を変える
- 極端に大きくする&小さくする
- インタラクションを加える
- モチーフをつくる
- 目線の流れを変える
これらを試しながら小さな『心地よい違和感』を意図的に積み重ねていきます。スクロールして流れを読みながら「なぜこの表現になったのか」を連想できるようになると、デザインでインプットできる量が増えます。
やがて意匠的な部分(外側)から意図(内側)までの連想ゲームが楽しくなれば、アイデアが溜まってくることにも気づけます。
② 学習コストは高すぎないか
デザイナーは、既視感のないナビゲーションやボタンを作りたい。そうやって発明する姿勢はとても大切です。
ただその一方で、それはユーザーのためでしょうか。
Webサイトを目的がはっきりしている人は少数派です。ほとんどの人は、必要なときだけ訪れてなんとなくで見ています。
操作方法まで新しくしてしまうと、「どう使えばいいかわからない」というストレスにつながります。
ページが変わるごとに、ボタンや見出しが変わることを“学習コストが高い”と呼んでいます。
新しさを作り、既視感を残す。前段同様ですが、このバランスはとても大切なんですよね。
学習しなくても、直感的にわかるサイトであることは、いうまでもなく大切です。
③ 情報階層は正しく整理されているか
デザインを見るだけで、デザイナーが構造をどれだけ細かく捉えているかがわかります。
- 色の数
- 色の濃さ
- フォントサイズの数
- 写真の中の被写体の位置
- 写真の中の被写体との距離
- 情報構造の深さ
- パーツのサイズ
- ボタンや見出しのパターン数
これらが複雑になればなるほど、コントロールが難しくなるのは想像できそうですよね?
デザイナーは印象と共に、目に飛び込んでくる情報の順番をコントロールしています。
これらを細かくコントロールできているデザインは、情報整理が優れていると感じ、分かりやすさや丁寧さにつながります。
反対に数が極端に少ないのは、レパートリーが無い、もしくは情報への優先順位を立てることができておらず、階層が見えていないのだと思います。
要素が多くなるほど、繊細・緻密で丁寧な印象になり、逆に要素を減らすほど、シンプルでダイナミックな印象になります。
シンプルなデザインは少しでも気を抜くと大味になりやすい。一方で、情報量の多いデザインは一枚の画面だけでは魅力を伝えにくい。
サイトの規模が多くなるほど、サイト全体を通して、どんな世界観を伝えたいかを精密に考える必要がある。
特にこれがWebデザインのむずかしさだと思います。
④ イントロとメロとサビ
全部同じテンションのサイトは印象に残りません。
音楽に『イントロ〜メロ〜サビ』があるように、Webサイトにもサビにあたる見せ場があります。
どこで驚いてもらうのか。どこで好きになってもらうのか。
その一瞬のために呼吸を整えるように、他を引き算したり、余白を作ったりします。
⑤ 具体と抽象を行き来できているか
Webサイトは文章だけでは伝わらないことだらけ。
文章を読んでいる人なんて、そもそもいないと思った前提でデザインが必要。
だから写真が必要なんですが、それでも伝わらないからイラストや図版などあの手この手を尽くします。
デザインを構成する役者が増えると、色やサイズだけでなく、イメージ写真やグラフィックも含めて、具体と抽象を行き来できているかを見ています。
ユーザーは、その往復によって世界観への理解を深めていくものですから。イメージ画像をたくさん使いすぎて、抽象的にならないように気をつけます。
⑥ 機能と装飾のバランスは取れているか
装飾は目的ではありません。伝えるための手段です。
装飾が目立ちすぎると、本当に伝えたいことがぼやける。
装飾単体でレイアウトすると悪目立ちすることはおおい。
そんな場合は機能的なパーツに印象を付けます。
例えば小さなパンくずリストや、ニュース記事のラベルなど、パーツとしてはとても小さくても、こういった部分を印象的にするだけで、グッと完成度が上がります。
控えめなサイトであっても、細部までこだわることが大切だと思います。
⑦ キャラ設定が一致しているか
フォントには声色があり、写真にもTPOがあり、余白にも性格があり、もちろん文章には呼吸があります。
優しい会社なのに強い言葉を使っていたり、職人気質なのに軽い表現になっていたり。それらが一致して強固なキャラ設定が積み上がっていくもの。
そしてそれらをみんなは“世界観”と呼んでいます。
⑧ 情報量に対して、感情量は足りているか
情報は正しい。構造も整理されている。
でも、それだけでは人は動きません。
「なるほど」と思うことと、「好き」と思うことは別だからです。だから私は情報量に対して感情量が足りているかを見ています。
写真を見て何を感じるか。コピーを読んで誰かを思い出すか。
余白や色づかいに、その会社らしいユーモアが含まれているか。
デザインは情報を整理する仕事でもありますが、それ以前に人を動かす仕事だと思っています。
情報だけが並んだサイトは理解できます。でも、記憶には残りません。
感情が伝わるデザインこそが、そのブランド・会社の“らしさを作ることだと思います。
まとめ
この8項目は案件によって優先順位が変わりますが、共通して私がデザイン確認で見ていることでした。
見るというか、『観る』感覚です。デザインをフィードアップするには、たくさんの知識と経験が必要です。
ですが『知識と経験がないから、何も言ってはいけない。』というのは間違いだと思うんですよね。
デザイナーではない人の『なんとなく気持ちよくない』というのは、とても率直な意見です。なぜなら世の中のほとんどの人はそうですから。
私たちのようなデザインに携わる人は、そういった『なんとなく』の語彙力を増やしてデザインに活かすこと。
それがセンスを貯めていくことの必要かつ絶対条件だと思って、私はありきたりな言葉を使わないように心がけています。
言葉にできた瞬間に小さくまとまることって世の中にはたくさんありますよね。
だからこそ、言葉にまとまらないデザインを作るデザイナーこそ、一流のうちの一流なんだと思います。
そうありたいですね。
ほなね