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ブランド構築の基本と戦略のポイント

アルテガは、企業の価値を言語化し、それをWebで体験できる形に落とし込む、ブランディングとWeb制作のパートナーです。
「私たちの魅力、本当に伝わっているのだろうか」
そんな違和感から、ブランドを見直す企業が増えています。
品質や実績には自信があるのに、なぜか選ばれにくい。価格競争に巻き込まれてしまう。
そう感じたときに必要なのが、単なるデザインや広告とは違う、根本から見直すブランド戦略です。
ブランド戦略とは、企業の存在意義や価値を言語化し、それを社内外へ一貫して伝えるための設計図のようなもの。
単なる“見せ方”ではなく、“あり方”を丁寧に伝えていくための考え方です。
そして、それをもっとも効果的に届けられる場がWeb。
サイト構成やコピーライティング、UIデザイン、導線設計など、すべてが「この会社に任せたい」と思ってもらえる体験につながっていきます。
この記事では、ブランディング戦略の基本から、Webでの実践ポイントまでを段階的に解説しており、これからブランドを強化していきたいと考えている方にとって、取り組みの道筋が見えてくる内容をお届けします。
そもそもブランディング戦略とは?
「らしさ」を言語化し、価値として届ける取り組み
ブランド戦略とは、自社のらしさや強みを明確にし、それを一貫して社内外に伝えていくための活動。
単にロゴやデザインを整えることが目的ではありません。
大切なのは、企業として何を大切にしているのか、誰にどう価値を届けているのかといった、「あり方」や「想い」を、戦略的に言葉と体験へ落とし込んでいくことです。
たとえば、自社の理念やビジョン、サービスに込めた意味。そのすべてを伝えるには、感覚や雰囲気に頼るだけでは足りません。言葉で定義し、伝わる構造を設計し、表現として届ける。そこに“戦略”の意義があります。
そして、それを実践するための手段が「ブランディング戦略」。
ブランドの土台となるアイデンティティ設計から、競合との違いを明確にするポジショニング、届けたい人に届く表現設計まで。
多くの要素が連動するからこそ、順を追って整理し、全体像をつかむことが重要です。
感覚や流行に流されず、自社にとって“本質的な軸”を持つこと。
その軸があるからこそ、広告やデザイン、SNS発信においてもぶれずにメッセージを伝えることができ、結果として“選ばれる理由”につながっていきます。
ブランディングは見た目だけでは測れません。経営・組織・マーケティングのすべてに関わる、企業全体の方針として設計することが、本来のブランド戦略の姿です。
https://arutega.jp/knowledge/purpose-branding-strategy/
マーケティングとの違い
マーケティングは「売るための仕組みづくり」。
ブランディングは「選ばれる理由をつくること」。
一見似ているようで、このふたつには明確な違いがあります。
マーケティングは、広告やプロモーションなどを通じて短期的な成果を目指すアプローチ。
一方でブランディングは、中長期的に企業や商品の価値を高めていくための活動です。
たとえば、似たようなサービスが並ぶ中で「なんとなくこの会社が好き」と感じてもらえるのは、ブランドが丁寧に育てられてきた証。
言葉やデザイン、発信内容などを通じて、“らしさ”が一貫して伝わっている状態と言えます。
もちろん、売上を伸ばすにはマーケティングも欠かせません。
ただ、長く愛されるブランドを育てていくには、ブランディングの視点が必要になります。
すぐに成果が出るわけではないけれど、時間をかけて信頼や共感を積み重ねていく。
その結果として、競合と比べられても「ここにお願いしたい」と思われるブランドに育っていきます。
だからこそ、マーケティングとブランディングは、どちらか一方ではなくバランスよく連携させることが大切です。
目先の成果だけでなく、企業としてどう在りたいか――その軸が定まると、発信や施策にも自然と一貫性が生まれます。
https://arutega.jp/knowledge/branding-marketing-strategy/
ブランド戦略の全体像
ブランドアイデンティティとは
「私たちは何者か」「どんな価値を届けているのか」。
この問いに、ちゃんと言葉で答えられるか。そこからブランドアイデンティティは始まります。
ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)やタグライン、ブランドの約束や信条。
これらを言語化して、社内でも社外でも共有できる“軸”を持つことが大切です。
たとえば、新しいサービスを立ち上げるとき、採用サイトをつくるとき、SNSで発信するとき。
すべての場面で「うちのブランドらしさって何だっけ?」が迷わず語れるようになるのが理想の状態。
表現のブレを防ぎ、選ばれる理由を明確にするための土台。
それがブランドアイデンティティです。
言葉にできない想いは、伝わりにくい。
だからこそ、自分たちの“在り方”を、しっかり言葉に落とし込んでおきたいところです。
https://arutega.jp/knowledge/purpose-branding-strategy/
ブランドポジショニング
ブランドポジショニングとは、自分たちが「誰にとって、どんな価値を持つ存在か」を明確にすること。
たとえば、「安心感を大切にするファミリー層に向けて、長く使えるシンプルなプロダクトを届けるブランド」など、“誰に向けて、どう役立つか”を言語化していきます。
似たような商品やサービスがあふれる中で、「どれも同じに見える」と言われてしまえば、価格やスペックで比べられてしまう。
そこで必要になるのが、ポジショニングの力。
「他社と何が違うのか」ではなく、「ユーザーにとってどんな存在なのか」を軸に考えるのがポイントです。
競合の分析も大事ですが、自社が届けたい価値を、自分たちの言葉で定義することから始めましょう。
うまく設計されたポジショニングは、営業・採用・プロモーションのすべてで効いてきます。
「なぜあなたたちなのか?」という問いに、一貫した答えを返せるブランドは、自然と信頼されていく。
また、ポジショニングは社内にとっての“判断軸”にもなります。
新しいサービスや打ち出し方を決めるとき、「それって私たちらしいの?」と立ち返る基準になるからです。
“比べられても、ちゃんと選ばれる理由”を用意する。
それがブランド戦略におけるポジショニングの本質です。
ブランドコンセプト
ブランドコンセプトは、すべての施策に通底する“らしさの原点”のようなもの。
商品開発でも、広告コピーでも、Webデザインでも、どこを切り取っても「そのブランドらしいね」と思ってもらうために、一言で言える軸をつくっておくことが大切です。
「誠実なものづくり」「発見がある暮らし」「もっと自由な選択肢を」──こうした短く強い言葉は、社内での共通言語にもなり、社外へのメッセージにもなります。
この“コンセプト”があいまいなままだと、アウトプットごとにトーンやメッセージがばらつき、受け手に「何が言いたいのかわからない」と感じさせてしまうリスクがあります。
ブランドの世界観や温度感、伝えたい価値観を、シンプルに、でも深く伝えられる言葉にまとめる。
それがブランドコンセプトをつくるということ。
大切なのは、コピーライター的なかっこよさではなく、“その企業らしいかどうか”。
背伸びせず、自分たちの実感を言葉にすることで、共感されるブランドが生まれていきます。
コンセプトがあることで、判断がぶれなくなることでデザインに迷ったとき、企画を立てるとき、社内で何かを決めるときにも「うちのブランドらしいか?」という視点で考えられます。
外に向けて語るだけじゃなく、内側の軸としても機能するのが、ブランドコンセプトのいいところです。
ブランド戦略を立てるステップ
1. 現状分析と課題の可視化
ブランド戦略を考える前に必要なのは、自分たちの立ち位置をちゃんと把握すること。
「何が強みで、どこに課題があるのか」を見極めないままでは、土台のない家を建てるようなものになってしまいます。
まず見ておきたいのは、社内の認識のズレ。部署や立場によって「うちのブランドってこうだよね」という感覚が違うことはよくあります。
そうしたズレを発見するために、ステークホルダー(経営層・現場・パートナーなど)へのヒアリングや、社内アンケートが効果的です。
「なぜこの会社に入ったのか」「自社の商品やサービスの魅力はどこにあると思うか」「お客様にどんな言葉をかけてもらうことが多いか」
そんな問いかけから、ブランドの核になるキーワードが見えてくることも。
ターゲット(顧客)の理解も欠かせません。理想の顧客像(ペルソナ)を整理し、今どんなニーズを持っていて、何に共感してもらえそうか。SNSでの声やレビュー、既存の顧客インタビューもヒントになります。
そして競合分析。似た立ち位置の企業がどんな言葉を使い、どんな打ち出し方をしているかを調べておくと、自社が差別化できる余白も見えてきます。
現状を把握し、チーム内で認識をそろえる。
ここを丁寧にやることで、次のステップである「ブランドの軸づくり」がぐっとやりやすくなります。
焦らず、じっくり。まずは今ある材料を集めるところから始めましょう。
2. ブランドの軸を設計する
分析を通して集まったキーワードや視点をもとに、ブランドの核となる「軸」をつくっていきます。
ここがブレないことで、すべての表現や判断に一本筋が通るようになります。
軸を設計するうえで大切なのは、単なるキャッチーな言葉を並べることではありません。
その企業やチームにしかない価値、背景、文化。それらをどう言葉にしていくかがポイントです。
たとえば、「私たちはなぜこの事業をしているのか」「他社と決定的に違う点はどこか」「理想の顧客とどんな関係性を築きたいか」
そんな問いかけを繰り返しながら、ミッションやビジョン、バリューといったブランドアイデンティティを形にしていきます。
そこから導かれるブランドコンセプトは、より直感的に伝わる要素。
商品やサービスが持つ“らしさ”や世界観を、社内外にわかりやすく伝えるための軸になります。
1フレーズで語れるように、短く・強く・覚えやすい表現を目指しましょう。
この段階で、デザインやコピーライティングを意識しすぎないのも大事です。
まずは芯となる考え方を丁寧に言葉にすること。かっこよさよりも“本音”の言葉を優先した方が、後々のクリエイティブにも力が宿ります。
ブランドの軸が定まると、意思決定が早くなるというメリットも。
新しい企画や表現を考えるとき、その軸に沿っているかどうかで判断できるので、社内のブレや迷いも減っていきます。
言葉にすることで、ブランドは初めて“他者と共有できるもの”になります。
この設計のプロセスを丁寧に進めることが、強いブランドづくりの要になるんです。
3. 表現と体験に落とし込む
設計したブランドコンセプトは、頭の中だけに置いておくものではありません。
言葉やビジュアル、UXといった「体験」に落とし込むことで、ようやくブランドとして息づきます。
Webサイトのコピーやキービジュアル、パンフレットや営業資料など、ユーザーと接するあらゆる場面で、ブランドの世界観を語れる状態に整えていきましょう。
ひとつひとつの接点が「伝える」だけでなく、「感じてもらう」ことを意識する。
そんな設計が、ブランド体験の質を高め、信頼感や共感につながっていきます。
https://arutega.jp/knowledge/guide11-about-branding-design/
4. 社内外で共有・浸透させる
どれだけ丁寧にブランドを設計しても、それがチームや関係者に伝わっていなければ、意味を持ちません。
ブランドは「共有」されてはじめて、実践のフェーズに移れるのです。
社内研修やブランドブックの配布はもちろん、掲示物やイントラ、定例ミーティングでの言語づかいまで、日常の中でブランドに触れる機会をつくっていきましょう。
たとえば、社内ポスターやワークショップの開催など、メンバーが“自分ごと”としてブランドを捉えられる工夫が重要です。
チーム全体に共通言語が生まれることで、自然と対外的な発信にも一貫性が出てきます。
5. 運用と改善
ブランドは一度つくって終わりではなく、育てていくもの。
どんなに丁寧に設計しても、現場で使われるうちにズレが生まれたり、想定外の反応が返ってくることもあります。
だからこそ、顧客の声や現場のリアルな反応、市場の変化を定期的に観察しながら、ブランドの表現や運用方法を少しずつアップデートしていく姿勢が大切。
Webサイトやパンフレットの見直し、SNSでの伝え方の調整など、できるところから改善していきましょう。
ブランドとの向き合い方を、企業文化として育てていくことが、長く選ばれ続けるブランドをつくる鍵になります。
ブランド戦略の成功要因・失敗要因
成功の共通点
うまくいっているブランドには、いくつかの共通点があります。
まず一つは、「言葉の一貫性」。広告で伝えているメッセージと、Webサイトのトーン、営業担当の話す内容がバラバラだったら、受け手は戸惑ってしまいますよね。
成功している企業は、そのあたりがとても丁寧。同じ価値観やメッセージが、あらゆるチャネルでブレずに伝わるように設計されています。
もう一つは、「体験の統一感」。
たとえば、サイトのデザインと実際の店舗の雰囲気がリンクしているか。メールでの対応や資料のデザインにまでブランドの世界観が表れているか。
どの接点に触れても“らしさ”を感じられる状態を保つことが、信頼の積み重ねにつながります。
そして何より、ブランドを社内全体で“共有している”こと。
部署や職種を超えて、「自分たちは何を大事にしているか」が共通認識として根付いている。
この“インナーの強さ”が、外への発信にもじわじわ効いてくるのです。
よくある失敗事例
せっかくブランド戦略を立てても、思うように効果が出ないケースも少なくありません。
たとえば、部署ごとに表現がバラバラになってしまっている状態。
広報は「挑戦的」、営業は「誠実」、採用は「親しみやすさ」…と、それぞれ違う顔を見せていると、受け手には一貫性のない印象を与えてしまいます。
デザインだけを整えたものの、肝心の言葉が空っぽ、というのもよくあるパターン。
見た目はかっこいいのに、何を伝えたいのかが伝わらない。そんなサイトやパンフレット、意外と多いです。
そして忘れがちなのが、施策の効果をちゃんと測っていないこと。
「ブランドっぽくなった気がする」で終わってしまい、実際にどう響いているのか、数字で確認していないと改善もしづらくなります。
ブランディングは感覚だけでは成り立たない。
きちんと設計し、伝え、振り返る。その積み重ねが、ブランドの信頼を育てていきます。
数値だけでなく“声”も見る
社内外から「らしくなったね」「一貫して伝わってる」といった声が聞こえるようになってきたら、それはブランディングが機能している証拠。
とはいえ感覚だけに頼るのは危険です。数値(流入・CV・SNS反応など)とセットで見ていくことで、施策の手応えがしっかり掴めます。
感覚と数字、どちらの面からもチェックすること。 それがブランドを“育てる”視点には欠かせません。
まとめ
ブランディング戦略とは、「らしさ」を見つけ、それを信頼に変えていくプロセス。
ただ目立つための見た目づくりではなく、企業の核となる価値観や想いを言葉と体験に落とし込み、それを一貫して届けていくことが大切です。
この活動には、短期的な売上向上のような即効性よりも、中長期での企業価値向上や、顧客との関係性を育む力があります。
言い換えれば、時間をかけて“選ばれ続ける状態”をつくるための基盤。
だからこそ、目に見える成果だけで判断するのではなく、社内外で「伝わっているか」「共感されているか」といった実感も、しっかり見つめていく必要があります。
アルテガでは、企業の中に眠っている想いや強みを丁寧に言語化し、Webやデザインを通してそれを外に伝えていくお手伝いをしています。
「うちのブランド、ちゃんと伝わってる?」そんな問いが浮かんだときは、ぜひ一度ご相談ください。
いっしょに考え、言葉を紡ぎ、伝わるかたちをつくっていけたらと思っています。