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フレームワークで磨くブランディング戦略

ブランディング

私たちアルテガは、企業のブランド戦略に伴走しながら、CI/VIの設計やWebデザイン、言語化支援を通じて、企業らしさの可視化と浸透をサポートするデザイン会社です。

「自社のブランドを明確にしたいが、どこから始めればよいか分からない」「社内の認識がバラバラで、ブランドに一貫性がない」といった悩みを抱える企業は少なくありません。そんなときに役立つのが“ブランディングのフレームワーク”です。

本記事では、ブランド構築の全体像を整理し、社内外への浸透やコミュニケーション設計を支える代表的なフレームワークを実践での活用法や企業事例を交えながら、戦略的にブランド価値を高める手法を初心者にもわかりやすく解説します。

ブランディングフレームワークとは何か?

ブランド戦略とフレームワークの関係

ブランド戦略とは、企業が何を大切にし、どんな価値を届けたいのかを明らかにしながら、その考えを社会やお客さまに丁寧に伝えていくための指針です。
一方でフレームワークは、その戦略を“見える化”し、関係者間で共有・議論するための構造や型のことをいい、ここでフレームワークを取り入れることで、ブランドの輪郭がより明確になり、判断軸や表現にも一貫性が生まれます。

感覚だけに頼ってブランドづくりを進めてしまうと、気づかないうちに認識のズレが生まれることもありますが、フレームワークを活用することで、社内外の視点を揃えながら、伝わるブランド設計が可能になります。

使うべき理由:可視化と共有の重要性

ブランディングの本質は“認識の一貫性”にあります。
だからこそ、ブランドの方向性や価値観を、関係者どうしが同じ言葉で語れるようにしておくことが欠かせません。
感覚的だったブランドのイメージも、フレームワークを使えば整理しやすくなり、誰にとってもわかりやすい形に可視化できます。
これは社内の意思統一はもちろん、外部パートナーとの連携や資料づくりにも大きく役立ちます。

組織が成長すればするほど、認識のズレがブランドに与える影響も大きくなっていくもの。
そうしたズレを防ぎ、プロジェクトの初期からチーム全体の方向性を揃えるツールとして、フレームワークはとても有効です。
導入する価値は、チームの規模やプロジェクトの重要度に比例して高まっていくと言えるでしょう。

主なブランディング課題とフレームワークの役割

ブランディングがうまくいかない企業には、いくつか共通する課題があります。
「ブランドの定義があいまい」「社内に浸透していない」「表現がバラバラ」「顧客視点が不足している」などがその代表例です。
こうした問題は、必ずしも戦略そのものが足りないというより、“ブランドの設計図”が描けていないことに起因しているケースが少なくありません。

ここで役立つのが、フレームワークというツール。
フレームワークは、ブランドの“設計図”として機能してくれます。
たとえばブランドピラミッドを使えば、価値やベネフィットを階層的に整理でき、ブランドパーソナリティを定義すれば、言葉づかいやトーンにも自然と一貫性が生まれます。
課題を見える形にし、その解決策を構造的に考えるうえで、フレームワークは非常に実践的で頼もしい存在です。

代表的なブランディングフレームワーク

ブランドピラミッド

ブランドピラミッドは、ブランドの本質や提供価値を階層構造で整理するためのフレームワークです。
一般的には「属性(Features)→機能的便益→情緒的便益→ブランドエッセンス」といった構成で、顧客にとっての意味や魅力を掘り下げていき、最終的には、ブランドの中核となる価値を言葉として明確に表現することが目的です。

この構造を使えば、感覚的だったブランドイメージも論理的に整理できるようになり、マーケティング施策や広告コピー、社内教育のメッセージまで一貫性を持たせやすくなるでしょう。

ブランドアーキテクチャ

ブランドアーキテクチャは、複数のブランドやサービスを展開する企業が、それぞれの関係性を整理し、最適な構造を設計するための考え方です。
「ハウス・オブ・ブランド」「ブランデッドハウス」「エンドースメント」など、いくつかのモデルがあり、自社の戦略や市場状況に合わせて適切な構成を選ぶ必要があります。

企業買収後のブランド統合や、新サービスの立ち上げ時などに特に力を発揮するフレームワークです。
ブランドポートフォリオ全体の一貫性と相乗効果を高めるためにも、有効に活用したいところです。

ブランドパーソナリティ&ステートメント

ブランドパーソナリティは、ブランドを“人”にたとえたときの性格や雰囲気を言葉で定義するものです。
たとえば「誠実」「情熱的」「革新的」といった形容詞で表現され、ブランドのトーンやデザイン、コミュニケーションの一貫性を保つための軸になります。

一方のブランドステートメントは、ブランドの核となる考え方を、一文で端的に伝えるメッセージです。
「私たちは何者なのか」「なぜ存在するのか」「どんな価値を届けるのか」といった問いに答える内容になっており、
社内外にブランドを伝えるための、言語的なガイドラインとして欠かせない要素といえるでしょう。

マーケティングと連携したフレームワーク活用

ブランディングとマーケティングの違いと連動

ブランディングとマーケティングは、しばしば混同されがちですが、それぞれ目的や視点が異なります。
ブランディングは「どう見られたいか」「どんな価値を届けたいか」といった、中長期的な視点でブランドの核を育てていく取り組みです。
一方でマーケティングは、比較的短期〜中期の売上獲得を目的に、顧客との接点を生み出し、最適化していく活動といえます。

この2つはまったく別のものではなく、連携させることでお互いの力を引き出せる関係にあります。
ブランドが定まっていなければ、マーケティング施策に一貫性が生まれず、成果も出づらくなってしまうでしょう。
逆に、マーケティングを通じてブランドの考え方や価値観が顧客に届くことで、ブランド自体がより強く、深く浸透していきます。

だからこそ、両者をつなげた戦略設計が欠かせません。
ブランディングとマーケティングの違いや役割の関係については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
それぞれの特性を理解したうえで、どう連携させていくかを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

4P・7Pの視点で見るブランド接点の設計

4P(Product・Price・Place・Promotion)や、そこにPeople・Process・Physical evidenceを加えた7Pは、マーケティングを考える上での代表的なフレームワークです。
この考え方をブランディングに応用すれば、ブランドが「実際に体験される場面」で、きちんと一貫性を保つことができるようになります。

たとえば、価格(Price)がブランドのイメージに合っているか。
販売チャネル(Place)がその世界観を崩していないか。
プロセスや接客、提供物すべてが、ブランドの目指す姿と噛み合っているか。
こうした視点から接点をチェックし、理想のブランド像とのギャップを埋めていくことが大切です。

フレームワークを使えば、感覚に頼らず、構造的に接点を整えることができます。

実行に強いブランド設計とは

どれだけ練られたブランド戦略でも、それがきちんと実行されなければ意味がありません。
実行に強いブランド設計とは、現場が理解しやすく、日々の業務や意思決定の中に自然と組み込まれている状態を指します。

そのためには、理念やビジュアルといった“表現の整理”だけではなく、ガイドラインの整備やKPI設計、研修などを含めた“運用設計”までをセットで考える必要があります。

さらに、社内のメンバーが「自分のこと」としてブランドに関わっていけるような仕掛けや、部門を超えたチームでブランド活動を推進していく体制づくりも重要です。
単なる設計図で終わらせず、現場で育ち続けるブランドにしていくこと。
その視点が、ブランドの定着と持続性を大きく左右していきます。

ブランディングフレームワークの実践と応用

フレームワークを使ったブランド設計プロセス

ブランドを設計するとき、まず行うのが現状の整理です。
顧客視点・競合との違い・社内で共有されている価値観などを洗い出し、課題と強みを明らかにしたうえで、適切なフレームワークを選ぶところから始まります。
ブランドピラミッドを使って価値を整理したり、パーソナリティ診断でトーンや言葉を明確にしたりと、目的によって使い分けていきます。

次のステップでは、ワークショップや対話の場を通して、関係者同士の理解を深めていきます。
その中で浮かび上がったブランドの軸を、ステートメントやガイドラインといった形に落とし込んでいきましょう。
ここまで整ったら、あとはWeb・広告・採用といった各領域に展開していくのみです。

成功企業のブランディング事例

たとえばユニクロでは、ブランドピラミッドをベースに「LifeWear(ライフウェア)」というコンセプトを打ち出し、商品から店舗体験、グローバル展開まで一貫したブランドをつくり上げています。
またスタートアップでも、ブランドパーソナリティを起点にSNSやトーンを整え、ファンに支持される存在になっている例は少なくありません。

どの成功企業にも共通しているのは、「フレームワークを活用していること」と「それを施策まで落とし込む力があること」。
分析だけで終わらせず、行動に変える。その工夫が、ブランディングの成否を分けているのです。

社内浸透・チーム活用の工夫

せっかくつくり上げたブランドも、現場で共有されていなければ意味がありません。
まずはブランドブックやトーン&マナーガイドなど、言葉やデザインの使い方を示す“ルール”を明文化することが大切です。
加えて、研修やワークショップ、社内報・ポスターなど、ブランドを日常的に思い出せる工夫を取り入れていきましょう。

チームごとに「ブランドの一貫性をどう守るか?」を話し合う機会をつくるのも効果的です。
現場の声を柔軟に取り入れつつ、ブランドを“自分たちのもの”として根づかせていく。
そんな運用が、ブランドを活きた存在にしてくれます。

まとめ:フレームワークでブランドを“構造化”する

ブランディングは、つい感覚や印象だけで語られがちですが、フレームワークを活用すれば構造的に整理・共有でき、戦略としての再現性も高まります。
ブランドの核となる価値を言葉にし、それを社内外に一貫して伝えていくには、適切なフレームワークの選定と実践が欠かせません。

本記事でご紹介した考え方や手法を参考に、自社のブランドをより明確にし、社内への浸透から施策展開、そして顧客体験に至るまで、統一感あるブランドづくりを目指してみてください。

私たちアルテガでは、ブランド戦略の言語化からCI・VI設計、Webを中心としたブランド表現の構築までトータルでサポートしています。
ブランディングでお悩みのことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。