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Case Study

村をまるごと温める。ブランドアイデンティティづくりの思い出。

Project Overview

京丹後にはアウトドアサウナと呼ばれる、自然をそのまま味わえるサウナがあります。京都の最北端、14世帯の限界集落にある、おばあちゃん家のような古民家施設🛖「最高のお昼寝ができる」そんな貸切サウナです♨️

サウナに入ったならば川を水風呂にして、すぐそばにある焚き火で温めたドラム缶のお湯に浸かる。
そして囲炉裏で暖をとりながら焼き芋を食べる。

今回デザインをお手伝いしたのは、そんなサイコーな体験ができる貸切アウトドアサウナの新規事業でした。
新規事業とは言ってもまだ何も、形にはなっていない状態でのご依頼です。
腕がなります。

ARUTEGAの役割
ネーミング・企業スローガン・ロゴ・名刺
パートナー
株式会社まにま

ネーミングとコピー制作

サウナを体験する

何はともあれ運営されているサウナを体験することから始めます。
まだ山肌には雪が残っていて、空気のなかに、冷たさと静けさが混ざっているような山里。

私たちは、アウトドアサウナを初めて味わうために京丹後の集落に向かいます。
屋外にぽつんと建っているその小さなサウナは、山に抱かれて、空に包まれて、ただそこにありました。

自然とサウナの境界線がない、アウトドアサウナ『蒸』。
冬に味わうと一層、身体の感覚が鋭く研ぎ澄まされるのがわかります。

熱が体にじんわり入りこみ、そして冷たい空気が肌をなでる。
自分のなかの何かが、ゆっくりと、解けていくような感覚を覚えます。

このアウトドアサウナにやってくる方々は、都会のスピードに疲れた人たちが、何かに導かれるようにたどり着く。

そう、たどり着くべくして、たどり着いた場所。
そんな場所あるんだなぁと。

会社の名前から考えます

もともとは集落と言うキーワードから言葉を広げていき、意味を深めていくことから始めました。
そのまま会社名を『集落』にすることも考えていたそう。

山のふもとにある、小さな人の集まり。
でもその響きには、ちょっと寂しさや古びた印象があるようで、そのまま名前にするのはどうかなぁという迷いがありました。

そこで、私たちはまず、お互いのことをもっと知る時間を持ちます。
価値観を話し合うカードゲームを囲んで、自分のこと、思っていること、大事にしていることを、すこしずつ話していきました。

なぜこの土地で、なぜサウナだったのか。
何にひかれてここに来たのか。
これから、どんなふうに生きていきたいのか。

話しているうちに、少しずつ言葉が浮かんできます。

「ゆるむ」
「つながる」
「ひらく」

そういった、やさしい言葉たちが、ぽつぽつとあらわれて、
私たちはその言葉たちのあいだに、自分たちが本当に大切にしたいものをゆっくり省察します。

そうして、『風のまにまに』という、古典文学のようなワードに辿り着きます。

“まにま”はどうだろう?
「風のまにまに」は、「風の吹くままに」「風のなすがままに」という意味の言葉で、自然の力や流れに身を任せる様子を表します。
この言葉は、和歌や俳句などの古典文学によく使われてきました。
この言葉の意味も、音のやさしさも、あたたかくて優しい感じをそのまま社名にしたなりました。

まにま爆誕です。

次は自分が感じた体験をそのまま言葉に直していきます。

スローガン:のぼせようジブン

こちらが出来上がったスローガンとコピーです。
私たちの目指すのは、ひとりの気持ちだけでなく、まわりの家も、空気も、つながりも、まるごとあたたまっていくような会社。

「のぼせよう」という言葉をスローガンにしたのは、ただ熱を帯びるという意味ではありません。

サウナで芯から温まるように、心も人もゆるんで、その瞬間だけは自分に正直でいられるように。
酔うように、夢中になって今の自分に、まっすぐのぼせるように。

そんな思いが、このひと言に込められています。

ロゴに込めた想い

山と人が重なり合ったり交差し合う様子をイメージし、幾つもビジュアルを作っていきます。

一つのロゴを作るには、たくさんの検証が必要です。
最後の一案にたどり着くまでに、何度も何度もカタチを変えたり色を変えたり。

試行錯誤は続きます。

そのうちから最終まで2つまで絞ります。

そして決まったのがこちら。

やさしいシンボルには、ほんの少しの広がりと有機性を持たせるために、あえてまとまりすぎないように。
アンバランスに手垢を残したような社名タイポはユニークな風合いがあります。

これからのまにま

サウナだけじゃなく、宿泊や体験、畑や食や本や遊びまで、集落にある生活と“人がゆだねられる場所”を地域の人と育てていきたいとオーナーの足立さんは語ります。
10年で10人、「ここに住みたい」と思ってくれる人が増えたら、この集落はきっと、もっと面白くなる。

そんなお手伝いをこれからもアルテガは伴走し続けます。

Copy,Wording
Makoto Hirao
Design
Toji