フィンランドのベーシックインカムって地域振興券のこと?

フィンランドのベーシックインカムって地域振興券のこと?
2017年1月26日

こんにちは。Webデザイナーの平尾誠です。フィンランドでベーシックインカムの試験導入がはじまりました!
そし先日1/24に韓国の李在明氏もベーシックインカムを公約に掲げて大統領選に立候補したと聞きます。

お金をあげる制度というと1999年に日本でも地域振興券ってありましたよね。僕は中学生だったので地域振興券の一部をお小遣いとしてもらった記憶があります。

– 韓国大統領選:「韓国のトランプ」李在明氏、ベーシックインカム導入掲げ出馬宣言
– 地域振興券とは by wikipedia

ベーシックインカムは社会保障制度や生活のあり方を根本から変えてしまうほどの影響力を持っており、日本も将来に向けて検討すべきだともされています。
ベーシックインカムとは何なのかと、僕なりの考察をまとめました。

ベーシックインカムとは

ベーシックインカムとは、一定の金額が国から支給されるというもの。

今回フィンランドが実施したのは、金額にすると毎月560ユーロ(約68,000円)、2年間の期間限定、対象者は失業手当か所得補給金を受給していた2000人をランダムに選ぶというもので、あくまで試験段階のようです。

ベーシックインカムは、生活保護や失業手当と違って、就業しているかどうかや、収入の多さに関わらずもらうことができるものです。
社会保障が手厚い国家として知られるフィンランドの施策だと思いきや、他にも導入しようとした国はあったようです。
スイスでは国民投票の末に約78%の反対票を受けてベーシックインカムの導入を見送りました。
実際のところは、「そんなことしたら財政を圧迫するし、そもそもみんな働く気が失せて、結果的に経済効率が悪化する」という否定的な意見がこれまでは多かったようです。

それではベーシックインカム導入による経済効果ってなんなのでしょうか?

ベーシックインカムに何を期待しているのか

端的にいえば、国から“お小遣い”をもらうようなイメージだが、このベーシックインカム導入が目指す最大の目的は、少額ながらも毎月の不労収入を確保できる環境が整えることです。
より多くの国民が、より有意義な仕事を得るための教育やトレーニングを受けたり、夢を実現するために起業したり、と多少のリスクを背負ってでも積極的にアクションを起こし、国の経済全体が活性化するという“仮説”にあるらしいのです。

仮説と言われているのは、これまでベーシックインカムを施行した国が存在しないため、フィンランドがテストケースだとのこと。
当のフィンランド政府は、もちろん真剣そのもので、ベーシックインカムこそが失業手当か所得補給金への救済の一手だと考えています。

ベーシックインカム推進派の根拠となっているのが、ベーシックインカムは既存の福祉制度よりも効率的、かつ公平であるということと、今後ロボットによる自動化により人間の仕事が奪われた時に、人々を失業から守ることができるという考え方です。
ベーシックインカム推進派の1人、ウォーリック大学のRobert Skidelsky教授は、社会の生産性の向上と連動することでベーシックインカムは「自動化による恩恵を一部の人ではなく、より多くの人に与えることができる」と、そのメリットを挙げています。

一方の懐疑派は、ロボットによる自動化がベーシックインカムを実現するレベルまでに達することが可能なのかについて、否定的な見方を示しています。また、仕事をしなくてもある一定の生活が送れることで、はたして人々の勤労意欲が刺激されるのかという、既存の福祉政策にも当てはまる懸念や、「人々に無条件にお金を渡すよりも、そのお金で職業訓練を施したほうが良い」という意見を唱えています。

ベーシックインカムの何がよいのか?

  • うまくいくかわからんけどやってみよう
    失敗しても生活ができなくなるリスクが減るため、チャレンジしやすくなる
  • どれだけがんばってもつらいから、転職してみよう
    退職・転職ハードルが下がり、人材の最適な配置が加速する
  • そんなにお金いらないから、無理に働かなくてもいいや
    つまらないと思っている(=生産性が低い状態)仕事が社会全体から減る

だけど結局は貯蓄に回ると思う

人々は政府が思っているよりも目の前の貯蓄に必死で、目の前の欲に手を出す習慣は、簡単には変わらないと思います。
私たちが受けた地域振興券では先物食い、要するに、これから将来に生まれるはずの消費者行動を、前倒しにしただけという否定的な議論が多かったように思います。
ですが、フィンランドのベーシックインカムは地域振興券とちがい2年間です。
2年間は多少無理をして起業するとか、職業訓練をする時間が与えられるということですが、最初の1年目は消費に周り、後の1年は貯蓄に回ると考えています。
だとしても僕は政府の思惑に期待したいと思う。

ここ数年で「働き方」というワードを耳にする機会が急増したように思います。電通の事件が発端だったり、保育園に入れれない現実だったりと。。
もちろん僕も働き方をこのブログでは盛んに取り上げていて、日本人が直面している課題だと思っています。

これまでの大企業的な終身雇用制度ではなく、副業や地方移住やリモートワークなんかも実現に向けた動きも東京では活発に行われていると感じています。
湘南に引っ越して、リモートワークを実践していきたいと考えたのも働き方に選択肢が少なすぎると思ったからです。

経済学の難しい話は学者の方々にお任せするとして、仮設どおりにつまらない仕事が減り、仕事が選べるようになれば、もっとブラック企業が減るのではないでしょうか。
そうやって初めて”働き方”から”なぜ働くのか”という次のステップに移れるのではないかと思います。